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生命保険を使った最強の相続税節税法とは?FPが教える非課税枠活用術

相続税の対策というと、不動産の組み換えや生前贈与を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、実は最も手軽で、即効性・確実性の高い節税対策の一つが「生命保険の活用」です。

生命保険で受け取る死亡保険金は、公的な制度によって非課税枠が設けられています。この非課税枠を使い倒すことが、相続税を合法的に減らすための鍵となります。

この記事では、ファイナンシャルプランナー(FP)が、生命保険が相続税対策に有効な理由から、誰を受取人にするべきか、そして対策のために契約すべき保険の種類までを徹底的に解説します。

生命保険が相続税対策に有効な「3つの理由」

生命保険が、他の財産にはない「最強の節税ツール」と言われるのは、以下の3つのメリットがあるからです。

非課税枠の存在
相続人が受け取った死亡保険金には、以下の計算式で求められる金額まで相続税がかからないという優遇措置があります。

非課税枠=500万円×法定相続人の数

例えば、法定相続人が妻と子2人の合計3人の場合、500万円 × 3人 = 1,500万円までは非課税で受け取れます。

現金でそのまま残しておくと全額が課税対象となりますが、生命保険に変えるだけで、この非課税枠分の税金がゼロになります。

確実かつ迅速に現金を残せる
相続税は、原則として現金で一括納税が求められます。しかし、相続財産の多くが不動産だと、納税資金が不足しがちです。
死亡保険金は、被相続人(亡くなった人)が亡くなった後、数日〜数週間という短期間で指定された受取人に支払われます。

遺産分割協議が長引く不動産や預金と違い、すぐに現金化できるため、相続税の納税資金として非常に有効です。

特定の相続人に確実に財産を渡せる
預金や不動産は「遺産分割協議」の対象となり、相続人同士の話し合いで揉める可能性があります。
死亡保険金は、受取人固有の財産とみなされます。遺産分割の対象外となるため、遺言書と同じように、特定の相続人に確実に財産を渡すことができます。

献身的に介護してくれた配偶者や、生計を共にしていない子など、「この人にだけは残したい」という意思を確実に実現できます。

生命保険の非課税枠を「使い倒す」具体的な方法

非課税枠を最大限に活用し、最大の節税効果を得るための具体的な行動を解説します。

ステップ① 契約者と被保険者を「被相続人」にする

節税効果を得るには、保険の「契約形態」が非常に重要です。最もシンプルで効果的な節税対策は、以下の形です。

契約者:故人(被相続人)
被保険者:故人(被相続人)
受取人:相続人
課税対象:相続人(非課税枠あり)

もし「契約者」と「受取人」が同じ相続人で、被保険者(亡くなった人)が異なる場合、一時所得や贈与税の対象となり、非課税枠が適用されないケースがあるため、契約前に確認が必要です。

ステップ② 非課税枠(500万円 × 法定相続人の数)ピッタリの保険に加入する

既に多額の預金がある場合、その預金の一部を、非課税枠に収まる生命保険に変えることで、節税効果だけを最大限に享受できます。

【例】預金が3,000万円あり、法定相続人が3人(非課税枠1,500万円)の場合
預金3,000万円のうち、1,500万円を生命保険の一時払い終身保険などに加入します。
結果、相続財産は預金1,500万円+保険金1,500万円(非課税)となり、課税対象額が1,500万円減ります。

保険金の「受取人」を誰にすべきか

保険金の受取人を誰にするかは、相続の目的によって使い分けることが重要です。

【目的別受取人ガイド】

目的おすすめの受取人理由
節税対策を最優先法定相続人非課税枠(500万円×法定相続人)が適用されるため。
孫に財産を渡したい孫は法定相続人ではないため、非課税枠は適用外だが、確実に財産を渡せる。
確実に納税資金に充てる配偶者配偶者は「配偶者控除」で相続税がゼロになる可能性が高く、納税資金の確保に専念できる。

「とにかく節税したい」なら、非課税枠が使える法定相続人を受取人にしましょう。ただし、遺言書と同じく、受取人指定はいつでも変更可能ですので、状況に合わせて見直しましょう。

相続発生前に契約すべき「保険の種類」

一時払い終身保険

特徴: まとまった現金を保険料として一括で払い込み、その後は保険料を支払う必要がない保険です。

メリット: 契約直後から死亡保障が始まり、すぐに非課税枠の適用を受けられるため、急な相続対策として非常に有効です。解約返戻金もあるため、保障と貯蓄の両方を兼ね備えています。

定期的に贈与しながら保険料を支払う

相続人(子や孫)を契約者・受取人とし、被保険者を親とする保険を契約し、親から子へ保険料分の現金を生前贈与し、そのお金で保険料を支払う方法です。

メリット:暦年贈与の非課税枠(年間110万円)を活用して財産を減らせる。

この方法は手間がかかりますが、非常に効果が高く、長期的な対策として推奨する手法です。

まとめ:生命保険は「現金」を「非課税財産」に変える

生命保険は、現金を非課税枠に変える合法的なマジックです。

相続対策は「準備の差」が大きく出ます。まずはご自身の非課税枠を確認し、保険の見直しや新規契約を検討することが大切です。この機会に、ファイナンシャルプランナー(FP)にご相談の上、最適な保険活用プランを立てましょう。

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