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老後資金2000万円は本当に必要?「安心額」の賢い計算方法

なぜ、老後資金2000万円が不安を煽るのか

「老後資金は2000万円必要」という言葉が、私たちの心をざわつかせてから久しくなります。テレビや雑誌でこのフレーズを目にするたびに、「自分は大丈夫だろうか…」「今から準備して間に合うのか?」と漠然とした不安を感じていませんか?

でも、ちょっと待ってください。この「2000万円」という数字は、あくまで公的なデータに基づいた平均値であり、あなたの人生に必ずしも当てはまるわけではありません。この記事では、ファイナンシャルプランナー(FP)の視点から、この数字の正体を解き明かし、あなた自身の「安心額」を賢く計算する方法を、楽しく、そして分かりやすく解説していきます。

老後資金の目安は「夫婦二人で月27万円」は本当か?

まず、「2000万円」という数字の根拠となった公的データを紐解いていきましょう。この数字は、2019年に金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」の報告書(公的年金だけでは不足する可能性があるという趣旨)で示された試算が元になっています。
以下の表は、その内訳を分かりやすくまとめたものです。


しかし、この試算はあくまで「平均的な生活を送る」ための金額です。ここには、住宅のリフォーム、車の買い替え、旅行や趣味といった、人生をより豊かにするための特別な出費は含まれていません。そのため、よりゆとりのある生活を送るためには、さらに多くの資金が必要になるというわけです。

FPが教える!自分だけの「安心額」を計算する3ステップ

平均値に一喜一憂するのではなく、あなた自身の「安心額」を具体的に計算してみましょう。

ステップ1:老後の生活費を具体的に想像する

まず、老後の生活で何にお金をかけたいかを考えてみましょう。

• 現在の生活を続けるなら:現在の家計簿やクレジットカードの明細を見て、毎月いくら使っているかを把握します。

• 趣味や旅行を楽しみたいなら:旅行やゴルフ、習い事など、具体的にどんな活動にいくらかけたいかをリストアップします。

• 住まいや暮らしを変えるなら:地方への移住、自宅のリフォーム、介護費用など、将来起こりうる大きな出費を想定します。

ステップ2:公的年金の収入を把握する

次に、将来あなたが受け取れる公的年金の額を確認します。これは毎年誕生月に郵送される「ねんきん定期便」で確認できます 。

【年金見込額】
65歳から受け取れる年金の見込み額(年額)が記載されています 。
50歳未満はこれまでの加入実績に基づく金額、50歳以上は60歳まで現在の条件で働いたと仮定した見込額が記載されています 。

【繰り下げ受給の見込額】
70歳や75歳まで受給を遅らせた場合の金額が試算されています 。
70歳まで遅らせると42%増、75歳まで遅らせると84%増になります 。

【これまでの年金加入期間】
今までに国民年金や厚生年金に加入した合計月数が確認できます 。
年金の受給資格は120月以上(10年以上)の加入期間が必要です 。

ステップ3:不足額を計算し、目標額を定める

最後に、ステップ1と2で算出した数字を使って、目標額を計算します。
【計算式】
(老後の年間生活費 − 年間の公的年金収入) × 老後生活年数 + 特別な出費 = あなたの目標額
この計算式で算出した金額が、あなたにとっての「安心額」です。

目標額を達成するための第一歩

「安心額」が分かれば、あとはその目標に向かって一歩ずつ進むだけです。以下の行動を参考に、今からできる準備を始めましょう。

  1. キャッシュフロー表で家計を「見える化」する
    収入と支出を詳細に記録することで、お金の流れを明確に把握します。これにより、無駄な支出が見つかり、効率的に貯蓄を進めることができます 。
  2. 毎月の「先取り貯蓄」を習慣にする
    給料が入ったらすぐに一定額を貯蓄に回す「先取り貯蓄」は、お金が貯まる人だけが実践している鉄則です。この習慣を身につけることで、自然に無駄な支出が減っていきます 。
  3. 非課税制度を賢く活用する
    老後資金づくりには、iDeCo(個人型確定拠出年金)や新NISAといった、税制優遇が受けられる制度を活用するのがおすすめです。これらは運用益に税金がかからないため、効率よく資産を増やすことができます 。
  4. 専門家へ相談する
    お金の専門家であるFPに相談すれば、あなたに合ったライフプランを一緒に立ててくれます。いつ、何のために、いくら必要かを見える化することで、漠然とした不安が解消され、具体的な行動につながります 。

まとめ

老後資金の不安を解消する鍵は、平均値にとらわれず、あなた自身のライフプランに合った「安心額」を把握することです。

  1. 漠然とした不安を可視化
    老後の生活を具体的に想像する。
  2. 自身の年金収入を把握
    「ねんきん定期便」を確認する。
  3. 目標額を計算
    (老後の年間生活費 − 年間の公的年金収入) × 老後生活年数 + 特別な出費
  4. 具体的な行動へ
    先取り貯蓄や非課税制度の活用

この記事が、あなたの老後資金に対する不安を解消し、前向きな一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。