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【保険を分かりやすく解説】死亡保障と貯蓄を両立する養老保険とは?

生命保険を選ぶとき、「万が一の保障も欲しいけれど、できれば貯金もしたい」と考えるのは自然なことではないでしょうか。そんなニーズに応えてくれるのが「養老保険」です。養老保険は、死亡保障と貯蓄機能を両立させた、シンプルながらも非常に便利な保険商品です。

養老保険の大きな特徴は、満期を迎えると、それまで支払ってきた保険料が「満期保険金」として戻ってくることです。これは、終身保険や定期保険にはない、養老保険ならではのメリットですね!

この記事では、養老保険の基本構造から、どのような人が活用すべきか、そしてそのメリット・デメリットまでを、ファイナンシャルプランナー(FP)の視点からわかりやすく解説していきます。

養老保険の基本構造:「生きていても、亡くなっても」受け取れる仕組み

まずは養老保険の仕組みを理解しましょう。

① 満期が設定された「期間のある貯蓄型保険」

養老保険は、保障期間があらかじめ設定された期間(例:10年間、60歳までなど)に限られています。この点で、一生涯保障が続く終身保険や、保障が消滅する定期保険とはちがうことが分かりますね。

【最大の特徴】
保障期間中に被保険者(保険をかけられた人)が亡くなった場合は「死亡保険金」が支払われます。そして、満期まで生きていた場合は「満期保険金」が支払われます。この「死亡保険金=満期保険金」となるのが、養老保険の基本的な設計です。

つまり、保険料を払い続ければ、必ず保険金を受け取れる、「元本保証(予定利率により変動)」に近い感覚で利用できる商品なのです。

② 貯蓄性を備えるために割高な保険料

満期時に必ず保険金が戻ってくる仕組みのため、保険料の一部は将来の満期保険金のために積み立てられています。このため、掛け捨て型の定期保険と比べると、保険料は割高になる傾向が見られます。
しかし、その分、満期時にはまとまった資金を受け取れるというメリットがあるため、「強制的な貯蓄」として活用したい人には適していると言えます。

養老保険が持つ「貯蓄と保障」を両立するメリット

養老保険は、他の生命保険にはない、貯蓄と保障を両立した独自のメリットを持っています。

① 資金使途の明確な「目標貯蓄」に使える

養老保険のメリットは、満期が来る時期をあらかじめ設定できることです。そのため、将来使う資金の目標額を設定し、その間、万一のために備えることもできます。

【活用例】

・子どもの大学入学資金が必要な時期に合わせて18年満期にする。
・老後の旅行資金として退職後の65歳を満期にする。

このように、満期を迎えることで、設定した時期に確実にお金を受け取れるので、計画的な資金準備が可能になります。

② 万が一の時も家族に安心を届けられる

目標額の貯蓄をしている途中で万が一のことがあった場合でも、死亡保険金が支払われるため、残された家族の生活資金を確保できます。貯蓄をしながらも、同時に家族のための「大きなリスクに対する備え」を確保できるのが、養老保険の魅力であります。

養老保険は期間の定めがあり、終身保険と比べると保険料も割高のため、相続対策としては不向きです。しかし、万が一の時には、養老保険も終身保険と同じように非課税枠を活用できます。

③ 生命保険料控除による税制優遇

養老保険は生命保険であるため、支払った保険料は年末調整の生命保険料控除の対象となります。これにより、所得税や住民税の負担を軽減する効果が得られます。

保障と貯蓄を両立させながら、税金の優遇も受けられるのは、家計にとってメリットですね。

養老保険に向いている人・向いていない人

養老保険は万能ではありません。その特徴を理解し、ご自身のライフプランに合っているかどうかを判断することが大切です。

養老保険に向いている人

【貯蓄が苦手な人】
毎月自動的に保険料が引き落とされるため、解約しない限り確実に貯蓄が進みます。途中で使ってしまう心配がある方にとっては、強制的な貯蓄手段となりますので最適な商品ですね。

【短期~中期の資金計画がある人】
5年~20年程度の期間で、使途が明確な資金(教育資金、結婚資金、車の買い替え費用など)を貯めたい場合に、非常に有効な手段です。

【シンプルな保障を求める人】
「貯蓄と保障」の機能が一体化しており、仕組みが非常にシンプルなので、複雑な商品設計を避けたい方におすすめしたいです。

養老保険に向いていない人

【保険料の安さを最優先したい人】
掛け捨ての定期保険と比べると、貯蓄機能がある分、保険料は高くなります。とにかく保険料は安く、保障は大きく欲しい場合は、定期保険を検討すべきだと思います。

【高い運用利回りを求める人】
養老保険の予定利率は、現在の低金利環境下ではそれほど高くはありません。積極的な資産運用で高いリターンを狙いたい場合は、iDeCoやNISAなどの投資商品を検討した方が良いでしょう。

契約前に知っておくべき養老保険のデメリットと注意点

養老保険を契約する前に、そのデメリットとリスクも正しく把握しておく必要があります。

① 途中解約のデメリット

保険料の払込期間中に解約した場合、戻ってくる解約返戻金は、支払った保険料の総額を下回ることが一般的です。つまり、元本割れしてしまう可能性が高いのです。

契約前に、設定した満期まで保険料を無理なく払い続けられるかどうか、家計のシミュレーションをしっかり行うことが不可欠です。

② インフレリスクへの対応

養老保険で受け取る満期保険金は、契約時に定めた金額が確定しています。しかし、契約から満期までの間に物価が上昇する(インフレ)に対応しずらく、お金の価値が目減りしてしまう「インフレリスク」があります。
そのため、」資産全体のうち、「確実に確保したい部分」を養老保険で、「インフレに備えて増やしたい部分」を積立投資(NISAなど)で準備するなど、他の商品と組み合わせて分散させることが賢明です。

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③ 満期保険金には一時所得として税金がかかる

満期を迎えて保険金を受け取った場合、受け取った金額と支払った保険料の差額(利益部分)に対して、一時所得として所得税が課税されます。

一時所得には50万円の特別控除がありますが、受け取った満期保険金が支払った保険料よりも大幅に大きい場合は課税対象となりますので、事前に税金が発生するかどうかを確認しておく必要があるでしょう。

養老保険は「確実性」を求める人にぴったりの保険

養老保険は、「お金を確実に貯めたい」という貯蓄の目的と、「家族を守りたい」という保障の目的を、バランス良く満たしてくれる商品です。特に、銀行預金だけでは物足りないけれど、投資で大きなリスクは取りたくないという方には良い商品だと思います。

大切なのは、資金が必要な時期に合わせて満期を設定し、途中で解約せずに最後まで払い続けることです。計画的で安心感のあるライフプランを実現するために、養老保険の導入を検討してみてくださいね。